室内空気質測定で見えた、ドクターズホームの住まいの空気

住まいの心地よさを左右するのは、間取りやデザイン、住宅性能だけではありません。
毎日何気なく吸い込んでいる室内の「空気」も、健やかな暮らしを支える大切な要素です。

今回、ドクターズホームがプロデュースした住まいで室内空気質測定を実施しました。
測定によって見えてきた空気の成分と、建材選びとの関係をご紹介します。

空気質へのこだわりが表れた、非常に良好な測定結果

私たちは一日の大半を、家や職場、学校などの室内で過ごしています。
その間、休むことなく体の中へ取り入れているものが「空気」です。

食べ物や飲み物については、原材料や産地、添加物などを確認する人が増えています。
しかし、毎日何度も呼吸によって取り込んでいる室内の空気について、成分まで意識する機会は、まだあまり多くないかもしれません。

では、住まいの空気の状態を知るためには、どうすればよいのでしょうか。

その一つの方法が、室内空気質の測定です。

今回、ドクターズホームがプロデュースした住まいの空気を、一般社団法人空気環境改善研究所による「エアみる法」で測定しました。

「空気がきれい」「自然素材を使っている」と説明する住宅会社は少なくありません。
しかし、実際に室内の空気を測定し、その成分をデータとして確かめている例は、まだそれほど多くないのが現状です。

今回の測定結果の一報では、空気環境改善研究所から「今回の測定結果は非常に良好でした」との評価をいただきました。

さらに、ドクターズホームが取り組んできた化学物質対策を重視した家づくりについても、その価値を室内空気環境の面から客観的に示すことのできる結果だったと評価されています。

測定したのは、岐阜県養老町にある木造住宅の和室です。

室内空気質測定を行った和室
測定を行った和室

詳しい分析では、室内濃度指針値が設けられている揮発性有機化合物やアルデヒド類は、いずれも問題のない水準でした。

さらに、室内空気の主な構成成分を調べたところ、上位を占めていたのは接着剤や溶剤などに由来する成分ではなく、すべて木材由来の成分でした。

測定結果には、ドクターズホームが大切にしてきた「空気質にこだわる家づくり」が、目に見えるかたちで表れていました。

今回どのような方法で測定を行い、何がどのように評価されたのか、その結果を詳しく見ていきます。

室内の空気は、建材の影響を受けている

室内空気の質を考えるうえで、忘れてはならないのが建材との関係です。
住まいには、柱や床、壁、天井、断熱材、塗料、接着剤、防腐剤、ワックスなど、さまざまな材料が使われています。

こうした建材や内装材の一部からは、「VOC」と呼ばれる揮発性有機化合物が空気中へ放散されることがあります。

VOCは「Volatile Organic Compounds」の略で、常温でも空気中に揮発しやすい有機化合物の総称です。

代表的なものとして、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンなどがあります。これらは塗料や接着剤、溶剤、合成樹脂製品などに使われることがあります。

また、合板や木質系フローリング、壁紙、接着剤などに関連する物質として、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドも知られています。

これらの物質が室内に高い濃度で存在すると、目や喉への刺激、頭痛、吐き気、倦怠感などにつながる可能性があります。
シックハウス症候群との関係も指摘されてきました。

2000年代初頭にシックハウス症候群が社会的な問題となったことを受け、厚生労働省は複数の化学物質について室内濃度指針値を定めています。

その後、建材の改良や法規制が進み、従来から問題視されてきた化学物質の使用は減少しました。

一方で、従来の物質に代わって使われるようになった成分による室内汚染も考えられるため、指針値が設けられている物質だけを調べれば十分とは限りません。
空気環境改善研究所の資料でも、代替物質を含めた幅広い測定の必要性が示されています。

そこで今回の測定では、特定の指針値物質だけでなく、室内空気を構成している主な成分についても調べました。

「エアみる法」で室内空気を測定

今回実施したのは、「エアみる」と呼ばれる捕集キットを使用した室内空気測定です。

エアみる法で室内空気質測定を行う様子
室内空気質測定エアみる法のキット

測定器を室内に一定時間設置し、空気中に含まれる揮発性有機化合物を捕集します。
その後、専門の計量証明事業所で分析を行い、どのような物質が、どの程度含まれているのかを確認します。

「エアみる」では、室内空気中に存在する124種類以上の化学物質を測定し、主な構成成分を見える化します。
自然素材を使った住宅では自然由来の成分が主に検出される一方、接着剤や塗料に由来する成分が存在する場合には、それらも結果に表れます。

測定結果については・

1、室内濃度指針値が設けられた物質

2、TVOCとその構成成分

3、木材由来以外の化学物質による影響

という三つの視点から評価しました。

VOC類、アルデヒド類の指針値物質はいずれも良好な結果に

最初に確認したのは、厚生労働省が室内濃度指針値を設けている物質です。
現在13 種類の化学物質に対して室内濃度指針値が設けられているとのこと。

室内濃度指針値とは、現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、人がその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を算出したものといいます。

下記は厚生労働省が策定している指針値です。

厚生労働省が設けたVOC類の室内濃度指針値
〈測定事業所による結果報告書より〉

今回個別に測定したVOC類は、次の6種類です。
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、テトラデカン。

測定の結果、いずれも小なり数値ということで、6種類すべてが「定量下限値未満」でした。
定量下限値とは、分析機関が数値として正確に測定できる最も低い濃度のことで、大変良好という評価をいただきました。

測定した指針値物質VOC類6種の測定濃度結果
〈測定事業所による結果報告書より〉

たとえば、トルエンとキシレン、スチレン、パラジクロロベンゼンは20μg/㎥未満、エチルベンゼンとテトラデカンは30μg/㎥未満という結果でした。

これは、測定機関が保証できる最も低い濃度よりも、さらに少なかったことを意味します。

室内濃度指針値は、トルエンが260μg/㎥、キシレンが200μg/㎥、エチルベンゼンが370μg/㎥、スチレンが220μg/㎥などと定められています。

今回の測定値は、いずれもこれらの指針値を大きく下回っていました。

続いて、アルデヒド類についても測定しました。
ホルムアルデヒドは定量下限値である10μg/㎥未満、アセトアルデヒドは20μg/㎥でした。

ホルムアルデヒドの室内濃度指針値は100μg/㎥、アセトアルデヒドは48μg/㎥です。

測定した指針値物質アルデヒド類2種の測定濃度結果
〈測定事業所による結果報告書より〉

特にホルムアルデヒドが定量下限値未満となることは、一般的な住環境でも必ずしも多くないと、測定事業者から説明を受けています。

アセトアルデヒドについても、指針値の半分以下でした。

指針値が設定されているVOC類とアルデヒド類については、すべて問題のない良好な結果となりました。

TVOCは「数値」だけでなく「中身」が重要

次に確認したのは、TVOC(総揮発性有機化合物)です。

TVOCとは、空気中に存在するVOCの総量を表すもので、室内の空気の汚れ具合を捉える一つの目安として使われています。
一般的には、数値が大きければ空気中に含まれる揮発性有機化合物が多く、数値が小さければ少ないと考えられます。

今回測定されたTVOC濃度は、1300μg/㎥でした。

厚生労働省が示すTVOCの暫定目標値は400μg/㎥です。
この数字だけを見ると、「目標値を超えているので、空気が悪いのではないか」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、TVOCを評価するときには、数値の大きさだけでなく、「何の成分によって、その数値になっているのか」を確認することが重要です。

TVOCには、接着剤、防腐剤、塗料、溶剤などに由来する成分だけでなく、木材などの天然素材から放散される成分も含まれます。

TVOCの暫定目標値は、その数値を超えたら直ちに健康への影響がある、あるいは危険な空気であることを示す基準ではありません。毒性学的な知見から決められたものではなく、さまざまなVOCを総合的に考えるための目安とされています。

そのため、今回の1300μg/㎥という数値について正しく捉えるには、室内空気を構成している成分まで詳しく確認することが重要です。

測定の結果、TVOCを構成する上位5成分は、すべて木材に由来する物質であることが分かりました。

空気の主成分は、すべて木材由来

今回の測定で検出された上位5成分は、次のとおりです。

最も多かったのは、α-ピネンで680μg/㎥。次いで、カラメネンが130μg/㎥、α-ムウロレンが67μg/㎥、D-リモネンが38μg/㎥、3-カレンが29μg/㎥でした。

室内から検出された物質とTVOC濃度
〈測定事業所による結果報告書より〉

これらは、すべて木材に由来する成分です。

α-ピネンは、スギやヒノキ、マツなどに含まれる代表的な香り成分です。D-リモネンや3-カレンなども、木材や植物から放散される天然由来の成分として知られています。

測定結果を表した円グラフでは、木材由来の成分が緑色、木材由来以外の成分が赤色、由来を特定しにくい成分が灰色で示されています。

今回の上位5成分はすべて緑色で、溶剤や接着剤などの木材由来以外の成分を示す赤色は見られませんでした。

この結果について、空気環境改善研究所による総合評価は、最も高い「◎」。

報告書には、「室内空気が自然素材由来の化学物質で構成され、良好な空気質を反映しています」と記されています。

TVOCの濃度は1300μg/㎥でしたが、その数値の大部分を占めていたのは、塗料や接着剤などに由来する成分ではなく、木の香りを構成する成分だったのです。

また、測定事業者からは、築1年以内の木造住宅として1300μg/㎥は決して高い濃度ではなく、むしろ低い部類に入るとの説明がありました。

新築直後の木造住宅では、TVOC濃度が3000μg/㎥前後となることも一つの目安とされており、今回の住宅は、新築時に含まれていた成分が時間とともに減少している途中にあると考えられます。

室内空気の主成分調査結果
〈測定事業所による解説資料より〉

木材由来以外の成分を確認する「影響評価」

測定結果を見るうえでの3つ目のポイントが、木材由来以外の化学物質による「影響評価」です。

影響評価のグラフでは、木材由来の成分を緑色、溶剤や接着剤など木材由来以外の成分を赤色、由来が不明な成分を灰色で表しています。

ここで特に確認したいのが、赤色で示される木材由来以外の成分です。

木材由来以外の成分を確認する影響評価の報告書抜粋
〈測定事業所による結果報告書より〉

同じようにTVOCの数値が高い住宅でも、その多くが木材由来の成分なのか、接着剤や塗料、溶剤などに由来する成分なのかによって、空気の内容は大きく異なります。

資料に示された比較例では、「化学物質が少ない家」は、TVOCの大部分が緑色の木材由来成分で構成されています。
一方で、「化学物質が多い家」では、赤色で示される木材由来以外の成分が大きな割合を占めています。

今回測定したドクターズホームの住まいでは、1300μg/㎥のほとんどが緑色で示される木材由来の成分でした。溶剤や接着剤などに由来する赤色の成分は、ほとんど確認されていません。

グラフ上の400μg/㎥を示す点線は、TVOCの暫定目標値です。
ただし、今回この数値を超えている部分の大半は、α-ピネンをはじめとする木材の香り成分によるものです。

そのため、測定事業者からは、特に注意を必要とする結果ではなく、自然素材を使った住まいの特徴が表れた良好な空気質であるとの説明を受けています。

天然乾燥材や低温乾燥材など、木の性質を生かした建材では、木材由来の香り成分が時間をかけてゆっくりと放散されることがあります。
築年数が経過しても木の香りが感じられるのは、こうした成分が室内に穏やかに残っているためとも考えられます。

今回の結果は、単にTVOCの数値が高いか低いかだけを見るものではありません。

室内空気を構成する主な成分が木材由来であり、溶剤や接着剤などに由来する成分が非常に少ないことが、影響評価からも確認されました。

ドクターズホームが取り組んできた自然素材や化学物質に配慮した建材選びが、室内空気の成分として表れた結果といえます。

「建材選びは、空気選び」

今回の測定を担当した空気環境改善研究所からは、「建材選びは空気選び」という言葉がありました。

家の中の空気は、外から入ってくる空気だけでできているわけではありません。

床や壁、天井、柱、家具、塗料、接着剤など、室内を構成するさまざまなものから放散される成分によっても、空気の質は変わります。

自然素材を多く使えば、必ずすべての人にとって快適になるとは一概に言えません。天然由来の成分に敏感な人もいるため、自然素材であれば何でもよいというわけでもありません。

大切なのは、どのような材料を、どこに、どのような方法で使うのかを考えることです。
建材だけでなく、換気計画、気密性、湿度管理、施工方法なども、室内空気の状態に影響します。

ドクターズホームでは、完成したときの見た目や間取りだけでなく、そこで暮らす人が毎日吸い込む空気まで考えた家づくりを大切にしています。

自然素材を採用することも、そのための方法の一つです。
接着剤や化学物質の使用を必要以上に増やさず、木や自然素材の特性を生かしながら、住まいを形づくっていく。

今回の測定では、そうした建材選びの積み重ねが、室内空気の成分として表れました。

上位5成分はすべて木材由来。
指針値物質はすべて良好な水準。
溶剤や接着剤などの石油由来成分についても、特に注意が必要な物質は確認されませんでした。

「空気質にこだわっています」という言葉だけではなく、実際の測定結果によって、その取り組みを確認できたことには大きな意味があります。

室内空気質評価レポートの評価はエクセレント

目に見えない空気だからこそ、見える化する

住宅の性能には、断熱性、気密性、耐震性、耐久性など、さまざまな評価項目があります。
それらの多くは数値で表すことができ、家づくりを検討するときの判断材料になります。

一方、室内空気の質は目に見えず、感覚だけでは判断しにくいものです。

木の香りがする。
室内に入ったときに空気がやわらかく感じる。
長く過ごしていても不快なにおいを感じない。

そうした感覚も大切ですが、そこに測定結果が加わることで、住まいの空気をより具体的に確認できます。

今回の測定では、ドクターズホームが大切にしてきた自然素材を中心とした家づくりが、空気の成分にも反映されていることが分かりました。

ただし、今回測定した住まいは、完成直後の住宅ではありません。
一般に、建材から放散される成分の濃度は、新築直後が最も高く、その後時間の経過とともに低下していきます。

そのため、ドクターズホームでは今回の結果を一つの実績として終わらせるのではなく、今後は新築直後の住宅でも空気質測定を行い、データを蓄積していくことを検討しています。

完成直後の空気はどのような状態なのか。
時間の経過によって、空気の成分がどのように変化していくのか。

複数の住まいを測定することで、ドクターズホームの家づくりと空気質との関係を、さらに詳しく確認できるようになります。
測定と検証を重ねながら、より良い室内環境を目指していく。 それも、住む人の健康を考える住まいのコンサルタントとして大切な姿勢だと考えています。

空気質にこだわったドクターズホームがつくる住まい

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まとめ

住まいの空気は意識していなくても、絶えず体に取り込み続けています。
家づくりで、毎日吸い込む空気まで考えることはとても大切なことだといえます。

今回の測定では、厚生労働省の指針値が設けられているVOC類やアルデヒド類は、すべて問題のない良好な水準でした。
さらに、室内空気の主な構成成分は、すべて木材由来でした。

自然素材を選び、接着剤や塗料などの使用に配慮してきた家づくりが、空気の成分として確認されたのです。

家を建てることは、家族がこれから長い時間を過ごす環境をつくることでもあります。
ドクターズホームは、住む人の心と体に寄り添う住まいを目指し、これからも空気質にこだわった家づくりを続けていきます。

ドクターズホームでは、これから新築をお考えの方をはじめ、性能向上リノベーションや風水リフォーム、事務所・店舗づくりをご検討中の方、今の住まいを少しでも良くしたいとお考えの方に向けて、「知るセミナー」「学ぶセミナー」「個別相談会」を開催しています。

住まいの健康対策や、家族がより幸せに暮らすための環境づくりなど、家づくりの前に知っておきたい基本的な考え方を、分かりやすくお伝えします。

新築やリフォーム、リノベーションを検討している方はもちろん、何から始めればよいのか分からない方、現在の住まいや暮らしに不安を感じている方にも、きっとお役立ていただける内容です。
家づくりや住環境に関する疑問、不安にも丁寧にお答えします。

「家と健康」「住まいと暮らし」に関することなら、どのようなことでもお気軽にご相談ください。 対面またはZoomによるオンライン相談にて承っております。

〈筆者プロフィール〉

長谷川仁龍


住まいのトータルコンサルタント
株式会社ドクターズホーム代表取締役
(一社)国際風水科学協会 副理事長
(一社)日本建築医学協会 副理事長
NPO法人日本自然素材研究開発協議会 理事
シンガポール国立大学 LKY公共政策大学院地政学プログラム修了
松永修岳大阿闍梨のもと、様々な加行を経て、伝法灌頂を授かる

東京都吉祥寺にて前の歌舞伎座を手掛けた棟梁に大工として師事
神社・仏閣・お茶室・一般住宅・RC造・鉄骨造・防音工事など、幅広く教えを乞う
23歳で建築業を開始
33歳の時余命を宣告され、真の健康住宅の必要性を感じる
高性能・風水、建築医学、最先端の知識を活用し、住む人々が財・体・心の健康を整え、豊かな人生が歩める住まい創りのプロデュースを行う

【主な著書】

『しあわせを育む風水健康と幸運を呼ぶ 家づくりの秘訣』
『しあわせになれる200年  健康エコエネルギーの家』
『家族が幸せになれるほんとうにいい家』
『100年長持ちするレンガ積みの家の秘密』
(以上、エール出版社)