住まいと健康〜色彩のチカラ〜
毎日目にする「住まいの色」は、私たちの気分や体調、家族の会話まで静かに左右します。
朝のキッチンで気持ちが前向きになる日、寝室でなぜか眠りが浅い夜――その背景には、照明や壁など「色の環境」があります。
色は、脳や自律神経に働きかけ、心身に確かな影響を及ぼします。
豊かな暮らしを実現するためには、色がどのような効果を与えるかを知り、上手に住まいに取り入れることが大きなポイントになります。
玄関・リビング・寝室・子ども部屋など、空間ごとに“効く色”の選び方もやさしく解説します。白一色から一歩抜け出して、家族の毎日を軽やかに整える色彩のレシピを、一緒に見つけていきましょう。
古代から受け継がれる色のちから
紀元前4200年から2181年、古代エジプトのカイロ近郊の古代都市ヘリオポリスには、癒しの神殿があり、医師は色の部屋で治療するために、太陽光をスペクトル別に分け、使っていたといわれています。現在のカラーセラピー(ヘリオセラピー=太陽療法)です。
紀元前500年、ギリシアの宗教家であり、数学者、哲学者の、ピュタゴラス(pythagoras;582~497BC)が、病気の治療に色を使ったと言われています。
ギリシアの医学者であるヒポクラテス(Hippocrates;460~375BC)は、現代医学の創始者とみなされ、人間の習慣や食物、心臓の鼓動、皮膚の色、それらによって人間の病気に対する診断と科学を確立しました。
紀元前1世紀のローマの医師も、色のついた絆創膏を使っていたと言われています。
これは、光線療法やカラーセラピーとして使われるようになってきました。R・B・アンバー(R・B・Amber)は、色彩は健康のために役立ち、太陽光は全スペクトル色を含んでいます。その中から、生体は必要な色を抽出して吸収し、不要な色は受け付けないので、できる限り裸になって短時間の日光浴をするのが一番よい、さらに色彩治療を満たすのは熱でなく色であると言っています。
西暦元年、A・C・セルサス(Aurelis Cornelis Celsus)の色彩観は、多種多様な花(スミレ、アヤメ、スイセン、バラ、ユリ)を使って、黒、緑、赤、白の軟膏を処方しました。
赤色の膏薬は傷を急速に癒合させ、黄色に関しては、アヤメ油を使ったサフランの軟骨を頭に塗ると眠りをさそい、心を鎮静させることを突き止めています。
色の波動が心と体に与える力
色は光であり、そして電磁波です。
色彩はすべての方向に放射するので、雑多な色が集まるとあらゆる方向にさまざま振動の火花を発します。
眼は、個々の色を脳に伝えるはたらきをしますが、雑多な振動(色)がたくさん入り過ぎると、振動を分別することが重荷になります。
眼は、物を見るためと、振動率を色に翻訳するはたらきをして、生体のバランスをとる振動を見つけます。
生体の振動と環境による色の振動とが等しくないと心身の健康を損なってしまいます。
暗い色、くすんでいる色、鈍い色、汚れたような色は、人間の精神、モラル、健康に害となります。
さらに不心得、抑制、劣等感、自殺、発育停止を促進し、個人の磁気の放射を妨げて、人間社会のギブ・アンド・テイクさえ起こらぬようにしてしまいます。
楽天主義も、インスピレーション(天来の着想)も、成功も、すべてをおさえ込んでしまうのです。
街のきたない、コンクリートのグレーの建物や様々な、看板・ポスター・ネオンサインなどを見ると、人間は無感情になり、キレやすくなり、そして不活発ですぐれない健康状態を誘発します。
色彩が感情と健康を動かす〜力にもなり毒にもなる色〜

人間は色次第でやる気が湧いたり、優しくなったり、気力や集中力が高まったりします。
反対に色彩の影響受け、心が病んだり、元気を失ったり、悪いイメージが浮かびやすくなったりもします。
色を賢く取り入れて活用すれば、色のもたらす効用は計り知れないものになります。しかし色の間違った使い方は毒薬と同じです。
それほどまでに「色」は、心や神経系と密接な関係があるのです。
1958年にカリフォルニア大学のロバート・ジェラート博士が行った「色」と「感覚」や「感情」の関係を調べる実験によると、特定の色が心の状態、呼吸速度、呼吸運動、脈拍速度、脈拍数、血圧に影響することがわかり、同様の実験は今日まで様々な角度から実証されてきました。
極端な例で考えれば、真っ赤な部屋の中に何日も住むことは、住む方の脈拍や血圧を上げ、攻撃的になるということです。
そして、この「怒り」などのストレスは、自律神経や副交感神経のバランスを崩し、多くの病気を生みだすことが解明されています。免疫学の権威である新潟大学教授の安保徹博士(故)によるものです。
願望別の色一覧
赤 :体力・気力・持久力回復
ピンク :ストレス緩和
オレンジ :チャレンジ自己表現力を高める
黄色 :やる気・好奇心を高める
グリーン :心身を癒やす
ゴールド :経済力を高める
シルバー :自分の価値を高める
白 :個性を強める・新しい道
青 :判断力・創造力アップ
紫 :批判から自らを守る・安眠
※松永修岳氏著書「幸せを呼ぶ!奇跡の玄関」より
ご家族の願望から幸せな暮らしの実現につながる色、10色をシンプルにまとめました。
色彩は毎日の生活の中で、自然と目に触れ、心理的効果を高めます。これほどまでに色は人間の心に大きな影響力を持っています。
もし、子供が心に悩みを持っている場合、黒い色やグレーの色が目に飛び込んでくる場にいると、より暗い考えを助長することになります。
住んでいるだけで健康につながる家づくりには、環境脳科学に基づいた色の有効活用が重要なポイントです。
波長の長い赤はエネルギーのパワーが強く、人間の肌なら16ミリまで浸透させます。
赤色は性腺の分泌を活性化させ、生殖器の発達を促すといわれ血流を増加させ、気分を高揚させ赤を身に付けると元気になるといわれています。
病気は突然襲ってくるものと考えられていますが、これには長年蓄積されて、原因を引き起こしている多くの種が、家の中にあると考えます。
環境脳科学によると、人間の無意識の脳は、意識的に受け取っている情報の約100万倍もの情報を外部の環境から自然と取りこんでいます。
また心理学では、顕在意識に対して、潜在意識(無意識)が占める割合が95%にも及ぶことがわかりました。その中でも視覚の情報量は全体の約80%となるため、家の視界から受けている情報は極めて重要です。

色彩が心身に与える影響
アイザック・ニュートンは、「色彩は光そのものである」という言葉を残しています。
『色の秘密』(野村純一著、文藝春秋刊)を参考に、色彩や光が心身に与える影響について紹介します。
暖色の部屋では時間の経過が長く感じられる
光や色彩によって私たちの筋肉は緊張・弛緩を繰り返す。
このはたらきをトーナスといいます。生体はいつも光を求めているから、光の加減や色彩によって、体の筋肉が緊張・弛緩する現象を、脳波や汗の分泌量から客観的に示した「ライト・トーナス値」と呼ばれる数値があります。
一番弛緩した正常値が23で、ベージュ色、パステルカラーがこれに近く、青が24、緑が28、黄が30となり、橙が35で緊張・興奮に変わり、赤は42で最高潮、血圧まで上げてしまいます。
では、なにゆえ生体にそのような反応が起きるのか?
生体もまた各々の元素からなるものであり、元素は常に振動しているため、その振動が光や色彩の波長(振動)に呼応します。これをシナジー(synergy:共力作用、生体組織の機能または、効果がその単独作用の和よりも大きい結果を出す現象といいます。
つまり光は生命、色彩は光の本質であり、光は生命の根源です。
したがって、生命は色彩であり、人間の体の器官はそれぞれ特定の色を持っています。
人間の時間間隔は色によって、心理的に影響されます。例えば、赤や橙色にかこまれた環境では、時間を長く感じて、「1時間たったかな?」と思って時計をみると、30分しかたっていないことがあります。
反対に、寒色系は実際の時間を短く感じさせます。「1時間たったかな?」と思うと、実は2時間も経過していた、という具合です。これは工場などの色彩に適していると言う事です。これも、実験によって寒色系の部屋では、実際の時間経過をその半分に過小評価することがわかっています。
色は体感温度を左右する
色には人間の生理や感情に及ぼす力があります。
それは人間が色を単に目だけでなく心で受けとめているからです。好き嫌いとは関係なく、暖色系を見ると、実際に体は温まり温度も上昇します。これを体感温度といいます。
逆に、寒色系や薄暗いところでは、体が寒く感じ、自律神経への刺激もないので、体感温度は下がります。
これについては多くの職場などで統計調査が行われています。
例えば、ロンドンのある工場では女子従業員の欠勤が多く、何が原因か調べたところ、彼女たちが鏡をのぞくとき、病人のように映って見える青色光の仕業であったそうです。
ウソのような話ですが、青色光が病気をつくりだしていたのです。
さらには、壁の色が陰気な灰色だったからたまりません。灰色は、気持ちを暗くするのです。
さっそく壁を暖色系のベージュ色に塗り替えると、青色光は中和され、欠勤は減少しました。
またロンドンの別の工場では、灰色の機会が明るい橙に塗り替えられただけで士気が高揚し、事故は減少、不機嫌だった従業員が作業中も歌をうたいはじめたといいます。
ところが、その工場のカフェテリア(セルフサービスの食堂)では、空気調節もよく明るい青色の壁であったのですが、従業員は21度の室温でも寒い寒いとこぼし、上衣を着て食事する人さえいたそうです。
そこで、24度まで室温を暖めてみたのですが、やはり寒いと苦情が出ました。
その原因が壁の色ではないか考え、橙色に塗り替えると、24度では暑すぎると文句が出て、結局もとの室温21度に戻すと、みんな満足したといいます。
アメリカのある工場では、空気調節をしてその室温を常に21度に維持していたのですが、女子従業員たちから寒いという苦情が絶えませんでした。
そこで空調はそのままにして、白い壁をくすんださんご色に塗り替えたところ、苦情はパタリとやんだそうです。
反対に、室温が高いという不平のあった工場では、明るい灰色、パステル調の緑色などの寒色系を導入したところ、それだけで不満が解消しました。
とても信じられないという人にも、これは簡単なテストで証明できます。
一定の温度の水をふたつのガラス容器にいっぱい入れ、一方は赤橙色に、他方は青緑色に水を染めます。手を入れて「どちらの温度が高いのか」を聞いて見ると、被験者の多くは赤橙色と答えます。
数多くの方に50色のカラーカードを提示して、暖寒の色相をつきつめたところ、一番温かく感じる色相は赤橙に集中しました。
一方、いちばん冷たい色相となると緑青から青、紫と拾い範囲にばらつきがあり、寒色系の領域のほうが広いということなのです。
人々の感じる温度を調査してみた結果、暖色系と寒色系では、その心理的温度差(体感温度)は、三度も開きがあることが判明しています。
ですから、「ブルーのカーテンをピンクのカーテンに替えたら、部屋が暖かくなりました」というのは当然のことなのです。
白は軽く、黒は重い
ものの重さは、色によって軽くも重くもなり、同じ重さのものを、白い包装紙と黒い包装紙で包んでみると、黒は白よりもだいたい二倍の重さに感じます。
ある実験の測定結果では黒は白よりも1.87倍、心理的に重くなりました。
100gのものを黒で包装し、187gを白で包装して、両手で持ってみると同じくらいに感じるというわけです。
明るい色は軽く、暗い色ほど重く感じ、この色の明度が一番軽重感に強く働きかけます。さらに、色相(赤、黄、青などの有彩色が互いに区別しあう色合いのこと)、彩度(色彩の鮮やかさと鈍さをいう)にも軽重感を左右する性質があります。
無色彩の白、灰色、黒には明度という属性しかないから、軽重感は白よりも灰色、灰色よりも黒が重いとハッキリ確認できます。
有彩色になると色相、明度、彩度の三属性があり、次のような軽重感となります。
色相による軽重、例えば黄と紫では、黄は軽く、紫が重くなります。
明度による軽重、明るい色は軽く、暗い色は重くなり、ピンクが軽いのに赤は重く感じる。
彩度による軽重、同一明度の場合なら、彩度の高い色が軽く、彩度の低い色は重く感じる。
つまり、さえた色は軽く、くすんだ色は重いということで、さえた赤(純色に近ければ近いほど)は軽く、くすんだ赤(彩度が低くなるにつれて)は重くなってします。なお軽重感は、環境の照明でも変わってきます。
例えば赤色光のもとでは、重さが実際よりも重く感じられ、緑色光ではずっと軽く感じられ、白熱電球では重く、蛍光灯では軽く感じられます。
味は視覚できまる
そこで色の実験として、楽しい実験を紹介しましょう。
目隠しして、鼻を硬くつまみ、リンゴの銘柄をあててもらう味覚テスト。これを「いかさまテスト」といいます。
リンゴの銘柄はなんでもいいので、たとえ当たっても偶然です。
このテストの目的は、生のジャガイモを食べさせることにありました。
ひどいやり方ですが、なにも知らない被験者は生のジャガイモをおいしくバリバリ食べて「***リンゴかな?」と答えてくれます。
味の違いは歴然なのに、なぜリンゴとジャガイモを区別できないのでしょう?
実は、私たちの味の感覚受容器のなかで、視覚、嗅覚、それに味覚の三つは、もっぱら化学的感覚によって刺激されるのです。
味受容器は、私たちが食べた食物中の化学物質で刺激され、嗅受容器は空気中の化学物質で刺激されます。
確かに味覚は知覚されるのですが、視覚や嗅覚に比べると、はるかに「鈍感」なのです。
そして、最も重要な感覚が視覚なのです。
だとしたら、私たちの「五感」はどれくらいの割合で活躍しているのでしょう…?
視覚はなんと87%働いているのに、味覚はわずか1%にすぎません。私たちの食事では、驚くばかりに視覚が優位を占めています。食器の色で食欲がそそられるのも、そのためです。
生死を左右する色彩
ロンドンのテムズ川にかかるブラックフライア・ブリッジは以前、黒色で投身自殺の名所でした。
これが緑色に塗り替えられてからは、なんと自殺者は3分の1以下に急減しました。
サンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジも自殺の名所なのは、これは赤で塗られているからです。
ガンを色彩で癒す――色彩建築医学
○濃い紫(バイオレット)のインテリアは脳腫瘍を癒す
○茶色(ブラウン)のインテリアは脳梗塞を癒す
○茶色(ブラウン)の書斎は脳梗塞を癒す
○青緑色のインテリアの寝室は狭心症・心臓肥大を癒す
○オレンジ色のバスルームは肝臓ガン・肝硬変を癒す
○ワイン色のトイレは子宮ガン・前立腺ガンを癒す
○黄色のインテリアは胃ガン・胃病を癒す
○からし色のトイレは大腸ガン・大腸ポリープを癒す
○卵巣ガンを癒す赤いインテリア
○グリーンのインテリア(じゅうたん)は肺ガン、肺病を癒す
○ガンを癒す色はオレンジ
オレンジ色は、脳梗塞、肝臓ガン、腎臓病、膀胱炎、膀胱ガンなど、多くの病気を癒す
家にどんな色を用いるか
狭いリビングに赤色や黄色の周波数の高い色を使うとさらに狭く感じます。ノルアドレナリンが多く分泌され血管が収縮し、血圧は上昇し、活性酸素は増え続け、早く神経を消耗します。
リビングルームは、フローリングよりもどこでも座れるカーペットを敷いた方がよい気を集めることができます。
床に敷くアクセントラグなどはグリーン系にイエローが配されたものがよいでしょう。
キッチンの色は暖色系やナチュラルな感じがする木質系の色がキッチンの場を整えます。
キッチンに寒色系はなるべく使わない方がよいでしょう。寒色系を用いていると免疫と血液循環を悪くしてしまいます。
トイレも同様に、寒色系の配色はやはり陰の気を強め、身体を冷やしやすく、それによって血管系障害が起こりやすくなります。
暗いのもよくありませんが、照明が明るすぎてもくつろげません。
浴室は一人でくつろぐ場所であるため、赤や黒などのきつい色調や活発なイメージを喚起する色は不適切です。
浴室内の色は暖色系でアイボリーか、薄いピンクやオレンジ系統の暖かい色にするとよいでしょう。

白い壁が、日本人から楽しさを奪っている
日本の屋内の壁は、ほとんど白が基調で、楽しさが演出されていません。
どの部屋に行っても同じような白壁で、部屋を移ってもあまり楽しくありません。これが日本人から楽しさを奪い、内向的な性格を形成していると考えられます。
欧米に行くとオレンジ、ピンク、グリーンといった様々な色が室内に使われていて、部屋ごとに楽しい雰囲気が醸し出されています。
壁の色を変えれば、心が変わるのです。
感情の切り替えも、うまくできるようになります。
人間は、色を目だけでなく皮膚でも見ています。
寝ているときも、服を着ているときも、色を吸収しているのです。
肌の状態と壁の状態は共鳴関係にあります。「壁の色を変える」ということは肌をつけるようなもので、壁の色を変えることで疲れをとることも可能です。
壁の色を変えて、自分の運を変えることも可能なのです。
壁の色で、人の心を変える
心を切り替える壁は、人間の心を変えます。
例えば、落ち込んでいるときに黄色の壁紙の中にいれば元気になります。
落ち込みやすい人は、オレンジ系や黄色の壁紙にするとよいでしょう。
孤独なときに真っ白な壁紙の中にいるとさらに孤独になります。
疲れたときにグリーンの壁紙の中にいると疲れがとれやすくなります。
疲れを消し去る力を持った内蔵は肝臓です。
解毒の働きを持つ肝臓は、免疫とも関係しています。そして、肝臓は木の気であり木気の色は青やグリーンです。ですから、青やグリーンの室内にいるだけで肝臓が癒されるのです。
怒りっぽい人や高血圧の人は壁紙の色をブルー、疲れやすい方はグリーンにするとよいでしょう。
これが東洋医学の仕組みで、色は心身のバランスを調整します。とくに、壁紙の色は面積が大きいだけに影響力も大きくなります。

壁紙の素材や色は住む方の性格をつくる
真っ赤な部屋にいると興奮しすぎて死にたくなったり、グリーンの部屋にいると免疫力が高くなったりします。
例えばアメリカでは、ベーカーミラーピンクという暴力性を落とすピンク色が特許を取っています。
外壁が真っ白だと寒く見える。グレーであっても暖かい家には見えません。
視覚的な暖かさも必要です。
外壁の色は暖色系を使うことで暖かく見えます。
さらに、風呂場、トイレ、キッチンも暖かい暖色系にすると攻撃性は落ちると考えられます。
風呂場が寒々しく、浴槽が小さく、床がタイル、色はブルーや黒といった家に住む人は攻撃的になりやすい傾向にあります。
色彩は、人間の心の成長や脳の発達に大きく影響を与えます
どのような色彩のものに囲まれて過ごすかで、どのような性格や人生を形成していくかが決まります。
毎日、真っ白の壁に囲まれ、その白さが自然に目に入り込むことで、人間の心はどのようになってしまうでしょう…?
そういった住環境で育った子どもは、心が豊かに成長できず、キレやすくなり、冷たい心を持つ傾向にあります。
どの部屋も壁紙が白、外壁も白か黒の無彩色、室内の色の変化や動きがない単調な住空間、色彩のない住空間は、能力の低下につながると考えられています。
白い壁紙ばかりの室内は、光を反射して目のストレスにもなります。
また、単調なので人間をイライラさせてしまい、落ち着きを失いやすく、キレやすい精神状態をつくります。
暴力、引きこもりを増やしてしまいます。
日本の家では壁は、ほとんどが白です。
色を多く使うと、うるさくなると考えるのでしょう。
「落ち着かない部屋になってしまいそう」と敬遠される向きもあります。
無難が一番と考え、かえって楽しさや明るさが失われているのです。
もっと素直に、ハッピーな色使いをしても何ら問題はありません。
欧米に行くとオレンジ、ピンク、グリーンといった様々な色が室内に溢れています。
しあわせになる家なのですから、色彩からしあわせを演出しましょう。
明るい色彩の中にいれば、人は明るいことを考えるようになります。暗い色彩の中にいると暗い気持ちになり、怒りや恐怖を司る扁桃体の刺激が強くなって不安になるのです。
収監者を鎮めるバブルガムピンク
米国の刑務所では、模範囚用にバブルガムピンク色の部屋が広く採用されています。
ピンクに塗られた独房を、特別に監獄や少年院、その他の更生施設で試用したところ、収監者の筋肉の強さが2.7秒で減少したなど、驚くべき報告があがったといいます。
バブルガムピンクは、苛立った神経を数分で鎮めることができるのです。
※「光の医学」(ジェイコブ・リバーマン著・日本教文社)より
人間は色彩のなかに生き、心によって色彩を理解する

どんな色彩を見ているのか、どんな色彩に囲まれているのか。
これが心に影響を与え、感じたことが神経とホルモン分泌を通し、我々の行動思考が決定され、それが人生となります。
・色彩を間違うと思考が間違え、人生を間違えてしまう。
・色彩は無意識に心に入力され、人生に影響を与えている。
わたしたちがどのように思い、どのように感じるかで、ドーパミンやセロトニンの量が変わります。 黄色い色彩で神経を刺激すれば、神経は突起を伸ばし、枝分かれして脳は刺激され、ちょっとしたことでも楽しいと感じるようになります。
人間の心の成長や脳の発達に大きく影響を与える
赤・オレンジ :やる気・行動力・実行力を高める
黄色 :好奇心・向上心・夢や希望をイメージしやすくなる
緑 :調和・バランス・平和・人との協調性を高める
青 :感情のコントロール・理解力を高める
白い壁 :子供は落ち着きを失いやすく、キレやすくなる。
大人でも無感情、無感動になっていきやすい
色のない世界 :脳が萎縮し心が成長しない
黒・グレー :ネガティブな心理になりやすい
暗い色彩 :暗い気持ちになり、怒りや恐怖を司る扁桃体の刺激が強くなり、不安になる
◎黄色い壁紙は夢や希望を与える
◎室内にグリーンがあることで協調性が育つ
◎壁紙の一面をオレンジにするとやる気が増す
◎受付を黄色にすると人間の好奇心を高める
◎人脈や良縁を得たい人には心にピンクを体験させる(ピンクの花を配置)
特に目(視覚)から入ってくる「情報」は、大きな影響力を持っています。
ゆえに、色彩の持つ力を活用した住環境をつくることで、「無意識」のプログラムが変わり、「考え方」が変わります。そして、「心」が力を持ち、「行動」が変わることで経済的にも豊かになることが可能となります。
建築医学から見た色彩の生理的・心理的効果
・赤:人を興奮させ、戦闘モードにするアドレナリンの分泌を促す。血流を促進する。体力、気力、持久力を回復させる。
・ピンク:興奮を抑える神経伝達物質、女性ホルモンであるエストロゲン等の分泌を促す。血流をよくする。快活さ、若々しさを保つ。ストレスから解放する。
・青:人を安心させ、やるべきことに集中させてくれるセロトニンの分泌を促す。血液の生成を促進し、神経を安定させる。判断力・創造力を高める。
・黄色:幸福感をもたらすエンドルフィンの分泌を促す。笑いを生み、鎮痛効果がある。明るく朗らかな気分をもたらす。気分が沈むのを終わらせる。やる気を高め、チャンスを生かせるようになる。
・グリーン:ストレスの解消に役立つといわれているアセチルコリンの分泌を促す。心をなだめ、身体を癒やす。健康意識を高める。
・オレンジ:血糖値を正常に保つインシュリンを分泌させ、健康増進に役立つ。挑戦的になれる。自己実現を促進する。人の批判に強くなる。
・紫:神経を興奮させるノルアドレナリンの分泌を促す。不安・恐怖の誘発、覚醒・集中心・積極性・記憶の活性化、痛みの緩和などの効果がある。
・黄緑:成長ホルモンの分泌を促し、骨と筋肉の成長、細胞活性化の作用がある。「若々しさ」と「成長」という強いエネルギーを見る方に与える。
・黄橙:視床下部に働いて食欲を増進させる働きを持つグレリンの分泌を促す。グレリンは下垂体に働き成長ホルモンの分泌を促進する。
・茶色:健康増進効果のあるインシュリンの分泌を促し、健康的で落ち着きのある雰囲気を作るのに適している。
・青紫:食欲抑制の作用があるオブスタチンの分泌を促し、集中心を高める。
・黒:ホルモンの分泌とは直接関わっていないが、有彩色の発色をもっとも強力に生かすため、服装・デザインに多用されている。恐怖から自分を守り、力強い印象を与える。
・白:複数のホルモンを分泌させる。筋肉を緊張させ、向上心を高める。個性を高め、新しい道を切り開く助けとなる。
・グレー:落ち着き、沈着を促す。内向性、消極性を強める。
・シルバー:グレーに近い生理的効果。自分の価値を高める。
・ゴールド:人を朗らかにする黄の生理的効果を生み出す。豪華さを演出する助けとなる。

不眠症の人に最も有効な色はブルー
ブルーは精神を安定させる気が出ています。人は、心配事があったり、心が安定していないときは、まばたきが多くなり神経が興奮しているときです。
ブルーの寝室にするとまばたきは減り、やがて眠ることができるようになります。
またパープルもよく眠れる色です。
冷え性や怖がりの方はブルーよりもベージュやピンク系が体調を整えることができます。喘息やアトピーの方には黄色系は効果があります。
色彩の刺激を積極的に使う
〜目的に合わせた色彩の使い方〜
・体力、気力、持久力を回復したい。多くの人のなかで目立ちたい — 赤
・ストレスから開放されたい — ピンク
・挑戦的になりたい、自己実現したい — オレンジ
・気分が沈むのを終わらせたい、自分のやる気を高めたい、チャンスがほしい — 黄色
・心をなだめたい、身体を癒やしたい(健康意識を高める) — グリーン
・人の批判から自分を守りたい、ぐっすり眠りたい — 紫
・人とあまり関わりたくない、消極性を示したい — グレー
・信念を持ちたい、自分の価値を高めたい — シルバー
・財と権力を得たい — ゴールド
・恐怖から自分を守りたい、自分を力強くしたい — 黒
・個性的になりたい、新しい道をつくりたい — 白
・自分の判断力を高めたい、創造力を高めたい — 青
室内の色が性格と将来を決める
玄関から廊下、ダイニング、リビング、子供部屋、主寝室にいたるまで、その用途や誰が使用するのか、また将来どうなりたいのかまでを考慮し、部屋の色彩を決めることが、しあわせを運ぶカギです。
それは壁紙ばかりではなく、インテリアなどでも効果があります。
◎希望という感情を湧かせるイエローのインテリア
財力を強くしたい場合や、方向性を見つけたい場合もイエローがよい。企業では「企画」向き。
◎理想を求めるならばイエローのインテリア
◎やる気と感情を湧かせるオレンジのインテリア。企業では「営業」向き。
◎社交性を高めたければオレンジのインテリア
◎落ち着きの感情を求めたければ茶系のインテリア。企業では「総務」向き。
◎人に好かれたければグリーンのインテリア。落ち着きたい場合もグリーンはよい。企業では「人事」向き。
◎責任感を高めたい人はブルーのインテイリア。企業では「経理・企画・研究開発」向き。
◎人間関係をよくしたい人は、ベージュもしくは薄いピンク系。落ち着いたイエロー系もOK。
建築医学からみた色彩別効果
・濃い紫(バイオレット)のインテリアは脳腫瘍の予防・治療
・茶色(ブラウン)のインテリアは脳梗塞の予防・治療
・茶色(ブラウン)の快適な書斎は脳梗塞の予防・治療
・青緑のインテリアの寝室は狭心症・心臓肥大を予防・治療
・肝臓ガンや肝硬変を予防・治療する
グリーン:肝臓ガン、肝硬変
オレンジ:肝炎、肝臓ガン
ベージュ:肝硬変
・赤・ワイン色は子宮ガン・前立腺ガンを予防・治療する
・黄色のインテリアは胃ガン、胃病を予防・治療
・からし色のトイレは大腸がん・大腸ポリープを予防・治療
・オレンジのインテリアは腎臓病を予防・治療
・オレンジの寝室は膀胱がん・膀胱炎を予防・治療する
・赤いインテリアは卵巣がんを予防・治療する
・グリーンのインテリアは肺がん、肺病を予防・治療する
建築医学カラーセラピー(足りない色彩の気と波動)
・アレルギー :レモン、黄、オレンジ
・慢性肝炎 :レモン、赤、
・花粉症 :レモン、ブルー
・肝硬変 :レモン、赤
・高血圧 :青、レモン
・低血圧 :赤、ピンク、レモン、ベージュ
・免疫リンパ :赤、レモン
・喘息 :赤、黄、オレンジ、レモン
・下痢 :青緑、レモン
・貧血 :グリーン、レモン
・記憶力低下 :すみれ色、青、グリーン
・神経痛 :青緑、藍色
・リウマチ :緑、紫
・神経痛 :緑、赤
・心臓病 :緑
・胃潰瘍 :青、紫
・胃弱 :黄
・魂の輝き :青
・JITの清浄 :紺色
・慢性頭痛 :紫、青
・脱毛 :オレンジ、レモン
・糖尿病 :レモン、グリーン
・動脈硬化 :レモン、紫、赤紫
・肥満 :赤
・腎臓病 :黒
・便秘 :あずき色

豊かな感情を引き出す5つの色を住環境に配置する
1、オレンジ 活動、やる気を高める、実行力
2、グリーン 休息、探求心、理解力、健康力
3、イエロー 希望、夢、楽しみ、幸福感
4、ブルー 直感、ひらめき、満足感、学習力
5、ブラウン 安定力、現実性、落ち着き
これらの5色をポイントとして目に飛び込んでくるように配置するとよい。
心が色彩によって活性化します。
まとめ
さあ、あなたはどのような色彩を選びますか。
心地良く、健康で、幸せがつづく色彩の家。
それが家族を守る家。家族の円満と健康と幸せに豊かに暮らせる大きな決め手となります。
これから土地の購入、住宅、マンションの新築、リフォーム、リノベーションをご計画の方に、ドクターズホームではより詳しくお伝えするために対面、オンラインどちらでもご相談承ります。
お気軽にお問い合わせください。
〈筆者プロフィール〉

長谷川仁龍
住まいのトータルコンサルタント
株式会社ドクターズホーム代表取締役
(一社)国際風水科学協会 副理事長
(一社)日本建築医学協会 副理事長
NPO法人日本自然素材研究開発協議会 理事
シンガポール国立大学 LKY公共政策大学院地政学プログラム修了
松永修岳大阿闍梨のもと、様々な加行を経て、伝法灌頂を授かる
東京都吉祥寺にて前の歌舞伎座を手掛けた棟梁に大工として師事
神社・仏閣・お茶室・一般住宅・RC造・鉄骨造・防音工事など、幅広く教えを乞う
23歳で仁・幸夢店を設立、建築業を開始
33歳の時余命を宣告され、真の健康住宅の必要性を感じる
高性能・風水、建築医学、最先端の知識を活用し、住む人々が財・体・心の健康を整え、豊かな人生が歩める住まい創りのプロデュースを行う
【主な著書】
『しあわせを育む風水健康と幸運を呼ぶ 家づくりの秘訣』
『しあわせになれる200年 健康エコエネルギーの家』
『家族が幸せになれるほんとうにいい家』
『100年長持ちするレンガ積みの家の秘密』
(以上、エール出版社)